飯沼栗とは

概要

飯沼栗は一般的なクリと異なり、通常1つの毬(イガ)に3個の果実が入るところを下飯沼栗生産販売組合員による「1毬1果」を目標とした栽培技術によって丸く大きな果実が多いことが特徴です。また、独自に開発した洗果機による全果洗浄や3回行う徹底した選別選果により色つや・形状等の外観に優れた青果販売のクリです。

外観だけでなく食味でも長年にわたる低温貯蔵の取り組みの成果である「品質を劣化させずに糖含量を増加させる冷温貯蔵技術」によって、甘みが強く食味の良い「貯蔵栗」として、東京都中央卸売市場(平成23年度から27年度の5年間)において、国内他産地平均価格の約2倍の値段で取引され、都内の高級果実店、大手百貨店、高級料理店においてクリの最高級品と評されお取り扱いをいただいています。

これまでに「第26回全国クリ研究大会 全果連会長賞(平成18年)」「第15回全国果樹技術・経営コンクール 全国農業協同組合連合会経営管理委員会会長賞(平成26年)」など多くの賞を受賞し、平成29年に特別な生産方法や25年以上継続した地域の農林水産物をブランドとして国が保護する「地理的表示保護制度(GI)」にクリとして日本で初めて認定されました。

下飯沼栗生産組合の歩みはこちら⇒http://www.iinumakuri.com/history/

産地紹介

茨城町 下飯沼

茨城県は和銅6年(713年)に編纂された「常陸国風土記」の中に「即ち、栗家の池有り。その栗大きなれば、池の名と為せり」と記されており古くから良いクリの産地であったことがうかがわれ、現在においても3,740tで全国1位の生産量(平成28年度)を誇る栗の産地です。

飯沼栗が生産される東茨城郡茨城町は県央に位置し、標高30メートル程度の台地であり、保水通気性が良く排水性も良好な火山灰性土壌(関東ローム層)に覆われており、また、平均気温13.6℃、年間降水量1,354mmと安定した気候で台風や雪による被害も少なく、クリの栽培に適した地形・自然条件の揃った地域です。

栽培・貯蔵・出荷方法

クリは6月上旬から中旬にかけて開花し、早い品種で8月下旬から熟した実が落ち始め、遅い品種でも10月中旬までには熟期を迎えます。

6月に開花した栗の花は主に風媒によって受粉します。そのため開花時期の風通しのよさが大切となり、また、実のなる枝(結果母枝)が決まっているため、冬季に行う剪定作業で風通しを良くしながらも結果母枝を適切に残すことが大きな栗に育てる上で最も重要となります。飯沼栗ではさらに1毬1果の栽培を目指しており、その栽培技術は門外不出とされています。

果実の肥大期である夏季にはクリの生育状況を見ながら、草を刈り肥料とする草生栽培や追肥をすることで生育を助け、カミキリムシなど栗の木を痛める病害虫の防除を行います。

秋季の収穫期には落下後1日以上放置してしまうと、日焼けや虫害による品質の低下が起こるため、毎日すべてのクリを収穫します。

収穫後も栗の実は呼吸をしていて呼吸熱による腐敗や乾燥に気を付けなければなりません。

すべての果実を水洗い洗浄し、1回目の選果をおこない、果実にオガ粉をまぶした状態で全量冷温貯蔵することにより乾燥や腐敗を防止し品質低下を防ぎながら、糖度が最も高くなる最低2週間以上、20日程度を目安に貯蔵します。GI登録に伴い平成28年に行った糖含量試験において、収穫直後の100g当たり3.5gから貯蔵後6.7gと、貯蔵技術によって約2倍の甘みを引き出していることが証明されました。

貯蔵完了後、冷蔵庫から出しオガ粉を落としながら適度に乾燥させ2回目の選果を行ったあと、集荷場に持ち寄り磨き上げ、他の組合員による3回目の選別選果と独自の出荷規格による等級階別を経て出荷となります。3回にわたる厳しい選別選果では虫食い、腐敗、汚れ、カビ、変形、変色、割れなどを確認して取り除き、箱に詰めて東京都内の太田、淀橋、築地(豊洲)の青果市場に出荷しています。

特徴・販売時期

「1毬1果」を目指す門外不出の栽培技術による大きく形の良い果実
品質を劣化させずに糖含量を増加させる「冷温貯蔵技術」による強い甘みの優れた食味
果実の洗浄、厳しい3回の選果による汚れや虫食い痕のない美しい外観

年により多少前後しますが、概ね10月下旬から11月中旬にかけて出荷しています。

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